時制の曖昧さについての小話

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どうも、中南米大好き夫婦が更新するブログです。

今回のテーマは完了形についてです。

メキシコ人の友人が抱いていた日本語のおかしな点。

それを元にお話していきます。

目次

完了形

*Haber + *participio

スペイン語では、言った・行った・見た・聞いたなど、

その時点で完了している動作を上記の2つの単語を使って、

また日本語では、【~た】と語尾を変化させ『完了形』として表現します。

*Haberについて

Haberの現在形は、以下の様に変化します。

単数複数
Yo (一人称)HeNosotrosHemos
Tú (二人称)Has*VosotrosHabéis
Usted (Él, Ella)
(三人称)
Ha, (+Hay)Ustedes (Ellos, Ellas)Han

Haberは厄介な動詞で、三人称の変化にHayという別の変化形を持っています。

*Vosotrosはスペイン語で用いられている二人称の複数形です。

*中南米では、二人称と三人称の複数形はUstedesに統合されています。

*Participioは、過去分詞です。

現在時点で完了している動作を表す場合は、『現在完了』

過去の一時点で完了している動作を表す場合は、『過去完了』

未来の一時点で完了している動作を表す場合は、『未来完了』

という感じで使い分けます。

今回は、現在と過去の完了形を取り上げます。

スペイン語の完了形

例えば、スペイン語でHe dicho と言うと、【言った】と翻訳できます。

これは具体的には、【言った事がある】という感じで経験や結果などを説明することができます。

また逆に今まで経験していない事を No he dicho と表現し、【言ったことがない】と翻訳できます。

ほかにも、過去から今もその状態が続いていることも表現でき、

He vivido en México と言うと【今も*メキシコ(シティ)に住んでいます】と翻訳できます。

これは、過去から現在までメキシコに住んでいるというニュアンスを表現しています。

*メキシコシティ

メキシコ国内では、Méxicoというと大体メキシコシティの事を指しています。
特にメキシコシティ・メキシコ州を除く州でMéxicoと言われるとほぼ間違いなくシティの事です。

今朝、私は朝食を食べた】の様に、今日や今週などの直近の時間を限定する言葉が入ると

スペインと中南米で表現に差が出てきます。

例えば↑の日本語をスペインのスペイン語に訳すと

Esta mañana yo he desayunado

これを中南米のスペイン語に訳すと、

Esta mañana yo desayuné

という感じで、スペインのスペイン語は『現在完了形』で表現し、

中南米のスペイン語では『過去形』で表現することが多いです。

過去完了や未来完了に関しては、地域差は無いと思うので飛ばします。

日本語の完了形

【~た】という形で終わる日本語の完了形

表現できるニュアンスは、スペイン語とあまり変わりありません。

経験や過去から現在へと繋がる描写、結果などを表現できます。

へ~という感じですよね。

日本語とスペイン語の完了形の違い?

違いというよりは正確には、日本語の完了形が曖昧であるという事をお伝えします。

例えば、映画を見ようと話あっていた時

この映画見たことある?

と聞かれた場合は、

見たことある (ない) よ。

と返すことが話し言葉として自然でしょう。

この場合は、日本語とスペイン語ともに現在完了形で表現します。

スペイン語ではHe visto (*mirado) 、またはNo he visto (*mirado) となります。

*mirado

*ver (visto)mirar (mirado) 両方見るという動詞ですが、この2つの違いについては解説できません。
ただ、映画を見るなどの場面では ver を使っている人が多く、聴いて覚えました。

例えば、映画を見ている途中

この映画見たことある?

と聞かれた場合は、

見たことあった (なかった)よ。

と返すか、

見たことある (ない) よ。

と返します。

日本語の話し言葉であればどちらも不自然な返答ではないでしょう。

この2つをスペイン語に訳すと、

1つ目が、過去完了で*Había visto / No había visto

2つ目が、現在完了でHe visto / No he visto

と翻訳できます。

*Había

HabíaはHaberの線過去形になります。

スペイン語の過去形には、線過去点過去という2種類の過去形があります。

過去完了形を表現するときには、Haberは線過去の変化を用います。

あれ?返答の時制が2つあるじゃないか!

日本語の完了形の曖昧さがよくわかる場面だと思います。

日本語では、現在完了・過去完了で答えることができます。

しかし、スペイン語では過去完了【Había visto / No había visto のみで答えます。

従って、2つ目の表現はスペイン語では出来ないという事になります。

例えば、映画を見終わった後

あの映画見たことあった?

見たことあった (なかった)よ。

と日本語では、過去完了で答えますよね。

スペイン語でも過去完了で答えます。

最初の質問はスペイン語で ¿Antes habías visto aquella película? となり、

相手に過去に見た経験があるか質問しています。

返答は過去完了を用いて、La había visto / No la había vistoとなります

Laは、aquella películaの目的格代名詞です。

さきほどまで映画を見ており、見るという動作は【見た】という過去のモノになっています。

従って、仮に

見たことなかったよ。

と日本語で答えた場合、

スペイン語では、(“Vi aquella película, pero”) no la había visto antes.

【 (先ほど見たけど、) 以前は見たことがなかった。】

【見た】という過去の動作より前には【見たことが無い】と解釈できます。

完了形の比較

先ほどまでの映画を見た・見ていないシチュエーションを表にしてみました。

状況日本語 (見たことが)スペイン語 (Haber visto)
見る前ある・ないhe visto / no he visto
見ている途中ある/あった・ない/なかったhabía visto / no había visto
見た後なかった・あったhabía visto / no había visto

今までの経験を表現するため、一般的に見たことが【ある・無い】という場合は

現在完了形で表現するのが無難でしょう。

また、過去の一場面を切り取ってそれ以前に【見たことがある】と表現する場合は、

日本語でもスペイン語でも、見たことが【あった・無かった】と過去完了で表現します。

時制の曖昧さ

映画を見始めてしまった場合、今まで見たことが無かったが、今見ている』という事になります。

【見た・見ている】という動作を元に、【見たことがある/ない】という経験を参照する場合、

その表現は文法的に言えば過去完了で表現すべきでしょう。

従って、スペイン語では過去完了【Había visto / No había visto】のみで表現します。

日本語だと現在完了・過去完了【見たことがある/ない・見たことがない/なかった】と2通りの表現ができます。

しかし、時制表現を考慮すれば『見たことがあった/なかった』と過去完了で表現すべきでしょう。

日本語の特徴

日本語の場合、見ている途中で『見たことあった?』と過去完了で質問されたなら、

過去完了で答えると思います。

『見たことあった?』にも現在完了で答えられますが、【あった・なかった】で答える方が自然でしょう。

日本語 (ネイティブ) はスペイン語ほど厳密に時制を制限しなくとも理解できるので、

相手が質問するために使用した時制に合わせて答えるのかもしれません。

まとめ

複雑な時制の一致などを考え始めるとかなりややこしく、

そんな素早く頭の中で考えられないので今回はよく聴く言い回しを参考にしました。

解釈も間違っている可能性があります

メキシコ人的には日本語の完了形の表現に疑問を抱いていたため、

何気ない会話がこの記事を書けるほど盛り上がりました。

事の発端は、SNSで流れてきたスペイン語に日本語訳が付いた動画だったんですけどね。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

・ラテンアメリカに魅了された夫婦
・中南米各国に長期滞在/旅行

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