アルゼンチンのスペイン語。

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アルゼンチン人全員が『ショ』とは言わない。

どうも、中南米大好き夫婦のブログです

アルゼンチンの公用語であるスペイン語。

スペイン語なのですが、他の国のスペイン語とは大きく異なるってご存知でしたか?

今回はそんなアルゼンチンのスペイン語について記事を書きました。

目次

カステシャーノとYeísmo

*スペイン語において、『スペイン語』を指す言葉はEspañol / エスパニョールと言います。

*日本で一般的に学習できるスペイン語。

ですが、アルゼンチンでは母国語 (スペイン語) をCastellano / カステシャーノと言います。

スペイン語を勉強した方なら、突っ込みどころが2つありますよね。

まずは、①【なぜ、エスパニョールと言わないのか?】という点を説明し、

その後、②【なぜ、”LLA”を『シャ』と発音するのか?】について説明します。

①なぜ、エスパニョールと言わないのか?

我々が日本で学べるスペイン語 (Español) は、

かつてイベリア半島にあったカスティーリャ (Castilla)王国で話されていた言語です。

このカスティーリャ王国の言語がCastellano / カステシャーノと呼ばれていました。

そして、カスティーリャ王国が新大陸に到達し、同地域にカステシャーノを広めました。

後に、カスティーリャ王国を中心としたスペイン王国 (España) が誕生した際に、
“Castellano” は “Español” へと名称が変わりました。

特にアルゼンチンでは、自国の起源を象徴するという意味合いでも、

未だにカスティーリャの言葉という意味で母国語についてカステシャーノという呼称を用いていると言われています。

スペインの歴史について (※興味の無い方は、飛ばしていただいて支障ありません)

1492年、レコンキスタ(国土回復運動)を終えたスペインは大航海時代を迎えます。

カスティーリャ王国は中南米各地において先住民と共存したり、時には消滅させたりして自国の植民地としました。

植民地はいくつかの副王領という管轄地域に分けられ、現地で生まれ育ったカスティーリャ人も多くいたそうです。

後に、現地で生まれ育ったカスティーリャ人たちが本国からの独立を目指し、現在の中南米諸国が誕生していく事になります。

スペイン王国が誕生した経緯は複雑なので、別で記事を書くかもしれません。

以降、本記事ではアルゼンチンのスペイン語をカステシャーノと表記し、
一般的なスペイン語はスペイン語と表記して区別します。

②なぜ、”LLA”を『シャ』と発音するのか?

アルゼンチンのカステシャーノの発音は、Yeísmo / シェイスモ と呼ばれる現象です。

実は、Yeísmo自体は本国スペインでも発現しており、主にスペイン南部のアンダルシア地方で確認されています。

Yeísmo自体について (※興味の無い方は、飛ばしていただいても支障ありません)

アンダルシア地方のYeísmoは、【Calle / カジェ】を【Calie / カリェ】と発音します。

日本ではスペイン語の【LL】と【Y】を同じ発音として学びます。

しかし言語学的には LL と Y は違う発音だそうで、Yeismoは【LL】を【Y】と同じ発音として用いることを指します。

Yで代用するから”Y”eísmoという事なのか?

このYeísmoの突然変異的なものが、アルゼンチンのYeísmoになります。

通常は、Lla / ジャ・ヤ・リャ と発音するところを Lla / シャ といった具合に発音します。

この現象は、大量のイタリア移民によるイタリア語の影響だとする説が強いです。

ウルグアイでもアルゼンチンと同じように発音する

なぜウルグアイも同じような発音を? (※興味が無い方は、以下略)

植民地時代よりウルグアイ地域には、

ポルトガル領コロニア・デル・サクラメントという都市と、スペイン領モンテビデオという都市がありました。

現在も地名として残っていますが、

ウルグアイはそんなポルトガルとスペインの両国の都市があった稀有な地域でもあります。

時代が進むと、両都市はブエノスアイレスと同じリオ・デ・ラ・プラタ副王領というスペイン管轄区域となります。

一時的にブラジルに占領されたこともありましたが、最終的に国として独立し、

アルゼンチンと同じくイタリア移民などの影響を受けYeísmoを発現しました。

現在でもウルグアイをブエノスアイレスの区域の一つと、面白可笑しく弄っているアルゼンチン人もいます。

つまり、Yeísmoはスペインやウルグアイでも確認されているため、

Yeísmo = アルゼンチンという風に考えるのは少し軽率かもしれません。

が、【ショ】というYeísmoが聞こえたら大体アルゼンチン人。

アルゼンチン人に比べてウルグアイ人と出会う確率って結構低いと思います。

アルゼンチンは大きい

ここまで書いてきたYeísmoを使ったカステシャーノは、

この記事のサムネイルにあるRioplatense / リオプラテンセという一種の方言?であり、

アルゼンチン全土では話されていません。

①Rioplatense

Rioplatense / リオプラテンセは、首都ブエノスアイレス市とブエノスアイレス州など*ブエノスアイレス都市圏

(Río de La plata / ラ・プラタ川流域)で使われているカステシャーノになります。

その他だと、*国内第二の都市であるCórdoba / コルドバでも使われているようですが、あまりメジャーではない様子でした。

アルゼンチン最大の人口を抱えるブエノスアイレス大都市圏に*総人口の1/3が集中しており、

必然的に国民はRioplatenseで話す人が多くなります。

他州で、現地の人がRioplatenseで話す様子は見たことがありません。(コルドバを除く)

ちなみに、国内旅行客は大体ブエノスアイレス出身者ですので他州でもRioplatenseは聞こえます。

*ブエノスアイレス都市圏の人口が約1500万人
*アルゼンチン第二の都市コルドバの人口が約160万人
*アルゼンチン総人口が約4500万人

②Porteño

Porteño / ポルテーニョと呼ばれる生粋のブエノスアイレスっ子。

世界最大の道幅を誇る”7月9日通り”にあるオベリスク
ブエノスアイレス市内(筆者撮影)

ブエノスアイレスは、ブエノスアイレス市とブエノスアイレス州に分かれています。

特に首都であるブエノスアイレス市出身者のことをPorteño(s)と呼んでいます。

Porteñoは自称であり、呼称でもあります。

彼らも先ほどのRioplatenseで話しますが、州とはまた違った話し方をします。

特に、高級+おしゃれ住宅街であるRecoleta地区に住むアルゼンチン人のRioplatenseは異次元です。

冗談抜きで、彼らの本気カステシャーノはほぼ聞き取れない

ちなみに、Recoleta地区は外国人も多く住んでいます。

③ブエノスアイレス以外の州

Rioplatenseで話さないアルゼンチン人も沢山います。

アルゼンチン総人口の2/3はブエノスアイレス都市圏以外に住んでいます。

そのため、単純計算で約3000万人はRioplatenseで話さないアルゼンチン人という事になります。

アルゼンチン・ミシオネス州 イグアスの滝(筆者撮影)

例えば、世界三大瀑布の1つとして有名なイグアスの滝があるミシオネス州は、

カステジャーノと先住民グアラニー族のグアラニー語を話す方も数多くいます。

また、ワインで有名なメンドーサや (元) 世界最南端の街・ウシュアイアでも

現地の人がRioplatenseで話すことはありませんでした。

ブエノスアイレスの外は、【ショ】とは言ってなかった。

それ以外のカステシャーノの特徴

発音もさることながら、アルゼンチンのカステシャーノを際立たせている特徴が3つあります。

Voseo・②Acento・③Lunfardoの3つです。

これらの特徴は、Rioplatense・Porteño 以外のカステシャ (ジャ) ーノにも確認できます。

①Voseo

¿Vos sos argentino?

1つ目の特徴としてVoseo / ボセオというものがあります。

スペイン語の2人称単数形【Tú】に置き換わる形で使われています。

Voseoはアルゼンチンに限らず、南米の一部地域では使われているようです。

人称は【Vos】を用いて使います。

VOS (※興味の無い方は、以下略)

昔のラテン語では、主語が権力者である【私】とそれ以外の人たちである【君・あなた】しかなかったようです。

この時の【君・あなた】を指す主語が Vos でした。

Vosは次第に複数人を指す場合にも使われ始め、混乱を招きました。

よって、複数人用のVosotrosが誕生しました。

スペインでもVOSは使っていたようですが、レコンキスタ終了を境に色々変わった様子。

入植したスペイン人によって、Vosの言語形態が使用されていたため南米一部地域にはVosが残ったのでしょう。

Vosotrosを辞書で引くと旧形は【vos】と出てくるはずです。

ちなみに、Nosotrosは【nos】です。

人称直接目的格間接目的格
tete
Vosa vos / (te・a tí)a vos / (te・a tí)
Vosotrososos

※目的格の際、【te・a tí】という人と【a vos】という人の2通りありますが 【a vos派】が多い。

Vosの動詞活用

Vosは通常のスペイン語でTúにあたりますが、動詞の変化が異なります。

動詞:Hacer (~する)

時制Vos
現在形HacésHaces
過去形HicisteHiciste
未来形HarásHarás
命令形HacéHaz

動詞:Decir (言う)

時制Vos
現在形DecísDices
過去形DijisteDijiste
未来形DirásDirás
命令形DecíDi

VosとTúの違いは現在形と命令形に顕著現れており、それ以外の時制は基本的に同じですね。

Vosの現在形は、動詞の原形-ar、-er、-irの【r】を取って【s】を付けるだけです。

あと【s】の前の母音にアクセントが付きます。

Vosの命令形も、動詞の原型から【r】を取って、お尻にアクセントをつけるだけです。

本家より動詞の変化が簡単で分かりやすいかも。

②Acento

Acento / アクセントも特徴的です。

アルゼンチン人サッカー選手のインタビューなどを聞いてみると良くわかります。

その話し方は同じスペイン語話者から『まるで歌っているようだ』と表現されます。

Rioplatense / Porteñoがクセ強ですが、それ以外の地域の方も若干歌っているように聞えます。

この特徴も独特なYeísmoと同じくイタリア移民の影響です。

つまり、先ほどのVoseoの動詞の変化も特有のアクセントによって通常とは異なっているわけです。

これもカステシャーノの特徴?

アルゼンチンでは、語尾の【s】の音が欠落する傾向にあります。

Buenos díasやBunas nochesも【s】の音が消え去り、Buen día・Buena nocheの様になります。

ちなみにBuena tarde / nocheとも言わない。Buenasだけです。
アルゼンチン人は、Buen día, Buena tarde / nocheをまとめてBuenasと言いがち。
Buen díaは朝早くから出かける時以外は聞かない。

実際は、【s】が【j】の音に置き換わって聞こえにくいだけらしいです。

ですが、おそらく発音しているつもりだけど発音する気はないと思います。

一方で、*【s】の音が動詞の語尾や母音を伴っている場合は発音する傾向にあります。

*【s】の音(※興味が無い方は、以下略)

【saber】【casa】の様に母音を伴う場合は、【s】の音を発音します。

【estación】の様に【s】が母音を伴わない場合は、発音しない傾向にあります。

語尾に【s】が付く【Buenos Aires】のような地名・固有名の場合は、【s】の音を発音します。

一方で、【Todos los domingos】のような場合は、語尾にあるすべての【s】を発音しません

動詞の場合は、【Vos hablás castellano】の【vos】の【s】は欠落しがちですが、

【hablás】の【s】は欠落しない傾向にあります。(【s】を発音しないと命令形と区別できないから)

ほかにも、【¿Y vos?】と聞き返す際は、【¿Y vo?】と聞こえます。

最後に、その他のスペイン語圏でも【s】は欠落しがちです。

sの音が可哀そう。

③Lunfardo

最後の特徴がLunfardo / ルンファルドです。

これは言葉遊び・スラングを意味しており他のスペイン語圏の国に比べて、

カオスっぷりが半端ないです。

夜を意味する【noche】を【cheno】と言い、音節の前後を入れ替えて言葉遊びをしています。

実際、普通の会話内で私に向かってnocheをchenoと言う人はいませんでしたが、

すれ違うアルゼンチンの学生たちは様々なルンファルドを使っていましたね。

ルンファルドの面白い動画をインスタグラムにアップロードしている

インフルエンサーもいてネタが尽きないほど奥が深いです。(ただのカオス)

ルンファルドもイタリア移民の影響です。

まとめ

アルゼンチンのカステシャーノは、

カスティーリャ王国から持ち込まれイタリア移民の影響で突然変異を起こしたスペイン語です。

彼らの誇りは、より文化的にヨーロッパに近く、そして”大人”びている所。

独特なスペイン語・カステシャーノはその誇りを支えている一因でもあります。

ぜひ、現地を訪れてカステシャーノとアルゼンチンの雰囲気を体感して下さい。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

・ラテンアメリカに魅了された夫婦
・中南米各国に長期滞在/旅行

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